こんにちは、ル・ノーブル ネット店です。
京都の夏の風物詩のひとつとして、先日、五条坂で行われる「陶器まつり」が行われました。
今年は予定が合わなく行けずじまいでしたが、常日頃より五条坂周辺には器の店が軒をつられていますので、もう少し涼しくなる頃を狙って、じっくりと散策に出かけたいなと思います。
その五条坂のから北にほどなく歩みを進めたところに「清水三年坂美術館」があります。
こちらで常時みられるのはあの「京薩摩」の作品。近くまで行かれた際には、ぜひ足を延ばして頂きたいスポットです。
ところで皆さんは京薩摩をご存知ですか?
今日はほんの少しですが、「京薩摩」の話をご紹介します。
※こちらでご紹介する写真は「空女」さんの現代の京薩摩です。
緻密に描き込まれた、絢爛豪華な京薩摩の世界
京薩摩の特徴といえば、その緻密さ。点描の一つ一つ、線の一本一本に至るまで、すべて筆で描かれた観る者を虜にする世界です。
途方もなく気の遠くなるような作業に、思わず溜め息がこぼれてしまいます。
写真は現代の京薩摩を紡ぎだす空女さんの作品。
なぜ現代と呼んでいるか・・実は、京薩摩の伝統技術は一度途絶えてしまったからです。
欧州で華やかに咲いた京薩摩。やがて幻となる・・。
九州の薩摩を中心とした薩摩焼(本薩摩)は、桃山時代のころより始められ、幕末の頃には金彩の美しい絢爛豪華な焼き物が作られるようになりました。
1867年に薩摩藩がパリ万博に出品した薩摩焼が絶賛されると、近代日本の近代化を進めていた政府にとって、薩摩焼の輸出は大きな役割を満たす重要な商品となります。
こうして欧州からの需要が大きくなった薩摩焼。九州にとどまらず、東京や京都、神戸や金沢など、各地でも薩摩焼風の商品が焼かれるようになります。
その中でも京都の三条粟田口の窯元が有名で、その土地で焼かれた物を京薩摩と呼ぶようになりました。
京の職人が作り出す京薩摩は、その艶やかさと綿密さが評判となり、ピーク時にはなんと700名の工員を抱えた巨大窯に成長。
窯の火が絶える事がない位のフル回転で、やがて本薩摩をしのぐほどの生産量を誇るようになります。そして多くの京薩摩が海を渡ります。
こうした欧州市場への輸出目的で生産され始めた京薩摩は海外で絶賛でしたが、
欧州での大戦事情や、日本の急速な工業化の推進によって工芸に携わる人員の工業シフト化などによって急速に衰退し、昭和の頃になると日本でも戦端が切られ、かつて盛況だった栗田口の窯も可動する事はなくなり、京薩摩の伝統や技術は次の担い手に殆ど受け継がれる事なく途絶えてしまいました。
そして現在。幻の京薩摩を再び形に。
幻の京薩摩と呼ばれるようになり、ミュージアムなどでその姿を見るに留まるようになりました。
そうした京薩摩の超絶技巧を目にし、再び現代に京薩摩を復興するため行動を起こした一人の絵付師さんが小野多美枝さんこと「空女」さんです。
京薩摩の超絶技巧に感銘を受けた空女さんは、独学で勉強を重ね、現代に京薩摩を蘇らせた人物です。
復興させようにも誰からも教わる事も出来ない京薩摩の技術。空女さんはそのタッチや顔料など、
すべての情報は現存する作品から学びとる為に試行錯誤を繰り返し、ようやく京薩摩を蘇らせるに至りました。
こうして新たなスタートが紡がれた京薩摩が、空女さんの現代の京薩摩です。
伝統技法や技を大事にしながら、磁器への絵付けや久谷やガラスとのコラボなど精力的に行い
現代の京薩摩を未来に紡いでいかれます。
思わず溜め息がこぼれてしまう作品たち。
こうした空女さんの作品をルノーブルでもご紹介させて頂いています。
アウガルテンの白磁生地に描いて頂いたオリジナルの作品や
一点ものの作品もありますので、定期的なご案内をどうぞご期待ください。
現代の京薩摩「空女」作品を一部ご紹介します。
京焼清水焼の伝統工芸士 小野多美枝氏 -空女-の 煎茶碗皿です。
細かい線の一本一本まで緻密に描きこまれており、近くで眺めていると内側の世界に思わず引き込まれそうになります。
ひとつひとつ全てが手描きで繊細に描かれており、非常に高い技術と手間暇が必要とされるため、希少性がとても高いまさに芸術作品と呼ぶにふさわしい逸品です。
京焼清水焼の伝統工芸士 小野多美枝氏 -空女-の犬筥(いぬばこ)です。女性らしく愛らしい人気のある花づくしの絵柄です。
細かい線の一本一本まで緻密に描きこまれており、近くで眺めていると内側の世界に思わず引き込まれそうになります。
ひとつひとつ全てが手描きで繊細に描かれており、非常に高い技術と手間暇が必要とされるため、希少性がとても高いまさに芸術作品と呼ぶにふさわしい逸品です。
幻の器と呼ばれる「京薩摩」に出会い独学で研究精巧を極めた、華麗な職人技で描く伝統工芸士 小野多美枝氏 -空女-の逸品。
京焼清水焼の伝統工芸士 小野多美枝氏 -空女-の香合(こうごう)です。
女性らしく愛らしい人気のある花づくしの絵柄で、一本一本まで緻密に描きこまれており、近くで眺めていると内側の世界に思わず引き込まれそうになります。
ひとつひとつ全てが手描きで繊細に描かれており、非常に高い技術と手間暇が必要とされるため、希少性がとても高いまさに芸術作品と呼ぶにふさわしい逸品です。
九谷和グラスのロックグラスに【現代の京薩摩】の柄を特別に【伝統工芸士 小野多美枝氏】が絵付けを施したものです。
幻の器と呼ばれる「京薩摩」に出会い独学で研究精巧を極めた、華麗な職人技で描く伝統工芸士 小野多美枝氏 -空女-の作品となります。
九谷焼と江戸硝子を融合させた「九谷和グラス」は、それぞれの伝統に恥じぬようひとつひとつを丁寧に手作りです。
アウガルテン磁器工房 メロンホワイトシリーズ の小皿に、【現代の京薩摩】の柄を特別に【伝統工芸士 小野多美枝氏】が絵付けを施したものです。
裏面には、アウガルテンのバックスタンプと「空女」こと小野多美枝氏のサインが記してあります。
さて、京薩摩の世界はいかがでしたでしょうか。
その歴史は決して長くはありませんでしたが、本当に深い・・。
幻となってしまった技や伝統を紐解き、未来へつなげる仕事をされている空女さんの京薩摩。
機会があれば是非ご覧下さい。
ちなみに本日8/16、毎年京都では「五山の送り火」が行われます。
いつから行われているのか、詳細な起源は分かってはいないそうですが、
お迎えしたご先祖の魂をお見送りする、京都のお盆には欠かすことのできない大事な行事となっています。
実はこの大文字焼の文字を盃に映して飲みほすことで、
一年を無病息災で過ごすことが出来るという話を聞いたことがあります。
日々を健康にすごして、来年もきちんとご先祖様のお迎えが出来るように
気を引き締めていきたいものです。