ポップでレトロが魅力のアラビアの食器

北欧デザインというと、機能主義で、実用性重視、無駄をそぎ落とした分かりやすいデザインを思い浮かべる方も多いでしょう。電化製品や、家具の中には、現代の私たちの家にも馴染みやすいシンプルなデザインの製品が多いかもしれません。

しかし、テキスタイルや、食器などの日用品の中には、日々の生活を豊かにする美しいデザインや、見ても楽しいイラストが描かれた商品も数多く作られています。

北欧を代表する陶磁器ブランドのアラビア、イッタラからイマジネーション豊かな北欧デザイナーのシリーズを紹介します。

ビルゲル・カイピアイネン~パラティッシ~

 


パラティッシとは、フィンランド語で“楽園”の意味ですが、食器好きや、北欧好きな人たちの間では、すっかりパラティッシという名前で有名になりました。

このパラティッシがデザインされたのは、今から50年ほど前の1969年。その後一度製造が終了しましたが、1988年に再生産。色違いのブラックやパープルも加わり、今ではアラビアで最も人気のシリーズとなっています。

アーティストだったビルゲル・カイピアイネン。スケッチブックに鉛筆で書かれた絵のように、平面的なフルーツや花の模様が特徴です。

パラティッシ・カラーは、黄色と紺色が特徴ですが、対照的ではっきりとした色使いにも関わらず、派手な印象がなく、静かな雰囲気を持っています。

エステリ・トムラ~パストラーリ~

 

エステリ・トムラは、1947年から1984年まで37年もの間、アラビアで食器やインテリアなどのデザインをしました。彼女がアラビアで製作したデザインは数百点にわたり、とても精力的でパワフルな女性であったことがうかがえます。

パストラーリは、鳥や花と女の子たちが、エステリ・トムラのデザインの特徴の一つである、線描で描かれています。女の子たちは、物憂げな表情で花や植物の中にたたずみ、不思議な雰囲気を醸し出しています。

パストラーリのオリジナルは1965~1969年ごろに発表されており、服装や髪形などはちょうどその時代に流行ったサイケデリックのイメージをほうふつとさせます。

クラウス・ハーパニエミ~タイカ~

 


クラウス・ハーパニエミはフィンランド、ヘルシンキ出身のイラストレーターです。

彼は自分のブランドを立ち上げ、ロンドンやヘルシンキでショップを展開しながら、さまざまなアパレルブランドにもデザインを提供、コラボレーションにも精力的に活動しています。最近ではヨーロッパだけにとどまらず、日本限定商品を制作するなど、日本でも活動の幅を広げています。

彼の書くイラストは、一言でいうと神秘的でしょうか。フィンランドの昔話からインスピレーションを得ているということで、カラフルな動物たちと不思議な植物が、おとぎ話のような世界観を作っています。

アパレルブランドと仕事をしているだけあって、食器であってもまるで絵画や、タペストリーのような絵柄で、思わず見入ってしまいます。

ヘイニ・リータフフタ~フヴィラ~

 


学生時代からアラビアに所属していたヘイニ・リータフフタ。若手ながら今ではフィンランドを代表するデザイナーとなりました。

陶磁器のデザイナーにとって、アラビアのアートデパートメント内に、自分のアトリエを持つことは、憧れですが、彼女は2003年に20代の若さでその仲間入りを果たしました。

ヘイニのデザインは、華やかで柔らかくやさしさにあふれています。植物や花、蝶などを点や線で描き、赤や黄色、ピンクなどの明るい色で色付けした心が和む作品です。

アンティークのデザインが好きなデザイナーだけに、流行にとらわれず、長く使い続けられるアイテムとなりそうです。

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